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発電事業の許認可・届出の手順|電気事業法・FIT/FIP・保安規程まで

発電事業の開始には電気事業法に基づく届出・登録とFIT/FIP認定申請が必要。FIT認定は申請料無料・審査3ヶ月、50kW以上は保安規程と電気主任技術者の選任届出が義務。電気工事業の登録は施工を自社で行う場合に必要。

許認可ナビ編集部·

この記事でわかること

  • 発電事業(太陽光・風力・水力・バイオマス・地熱)の開始に必要な許認可と届出の全体像
  • 電気事業法に基づく発電事業者の届出・登録区分(出力規模別)
  • FIT/FIP認定申請の手続き・費用・審査期間(申請料無料・審査約3ヶ月)
  • 保安規程の届出と電気主任技術者の選任義務(50kW以上の自家用電気工作物)
  • 系統連系協議の進め方とよくある落とし穴5選
  • 取得後に必要な変更届・定期報告などの継続的な義務

発電事業に必要な許認可・届出の全体像

発電事業を開始するにあたり、関連する主な規制は以下の3本柱です。事業規模(発電出力)と再生可能エネルギーの種別によって必要な手続きが異なります。

電気事業法に基づく届出・登録

区分対象必要な手続き
一般用電気工作物出力10kW未満の太陽光届出不要(系統連系協議のみ)
自家用電気工作物出力50kW以上〜2,000kW未満保安規程届出 + 主任技術者選任
発電事業出力10,000kW(10MW)以上発電事業者の届出(経済産業省)

再エネ特措法(FIT/FIP制度)に基づく認定

固定価格または市場価格+プレミアムで電力を売電する場合は、資源エネルギー庁への認定申請が必要です。

  • FIT(固定価格買取制度): 主に住宅用〜中規模(10kW〜)
  • FIP(フィード・イン・プレミアム): 大規模案件(2022年度〜)。市場価格に連動したプレミアムを加算

電気工事業の登録(施工を自社で行う場合)

自社で発電設備の電気工事を行う場合は別途「電気工事業の登録」が必要です(電気工事業法第3条)。EPCコントラクターに外注する場合は不要です。

重要 電気工事業の登録を持たない事業者が自社施工を行うと電気工事業法違反となり罰則の対象になります。施工委託先の登録状況も事前確認してください。

FIT/FIP認定を受けられないケース(欠格事由)

以下のケースでは、FIT/FIP認定申請が受理されないか認定が取り消されます。

  • 再エネ特措法または電気事業法違反で罰金刑以上の刑を受けてから5年を経過しない者(法人の場合は役員含む)
  • 虚偽の申請(事業計画の実現可能性が著しく低い、架空の設備情報等)
  • 系統連系承諾が得られない設備(電力会社の系統制約エリア等)
  • FIT認定を受けた設備を正当な理由なく3年以上未稼働にする場合(認定取り消しリスク)
  • 認定設備の無断転売・名義変更(事前届出が必要)

重要 農地への太陽光発電は農地転用許可が別途必要。転用許可が下りないと系統連系協議が進まず、事業全体が止まることがあります。

申請前の準備

発電事業を開始するまでには許認可の申請前に以下3つの準備が必要です。最長で系統連系協議に1年以上かかるため、事業計画の初期段階からこれらを並行して進めることが重要です。

① 発電設備の出力区分確認

電気事業法上の区分は発電設備の最大出力(kW)で決まります。設計段階でパネル枚数・インバーター出力を確定させ、区分を事前確認してください。

  • 10kW未満(一般用): 届出不要。電力会社への系統連系申請のみ
  • 50kW以上2,000kW未満(自家用): 保安規程の届出・電気主任技術者の選任が義務
  • 10,000kW(10MW)以上(発電事業): 発電事業者として経済産業省へ届出

② 再エネ種別とFIT/FIP適用区分の確認

FIT/FIPの買取単価は再エネ種別・出力規模・年度によって異なります。毎年度改定されるため、着工前に資源エネルギー庁の公式サイトで最新単価を確認してください。

再エネ種別代表区分
太陽光(住宅)10kW未満
太陽光(産業用)10kW〜2,000kW未満
風力(陸上)20kW〜
小水力200kW未満〜30,000kW未満
バイオマス燃料区分で細分化

③ 送配電会社との系統連系協議

発電設備を電力系統に接続するには管轄の送配電会社との系統連系協議が必要です。低圧連系は比較的短期間ですが、高圧・特別高圧連系は6ヶ月〜1年以上かかることがあります。

重要 系統連系承諾書がないとFIT認定申請ができません。土地確保・設計確定後、最優先で着手してください。

電気事業法に基づく届出・登録

発電事業の規模に応じて、経済産業省または産業保安監督部への届出が必要です。

発電事業者の届出(10,000kW以上)

出力10,000kW(10MW)以上の発電設備を設置し電力を供給する「発電事業者」は、電気事業法第2条の2に基づき経済産業大臣への届出が必要です。届出先は電力・ガス取引監視等委員会(電子申請)。開始の30日前までに届け出ます。

保安規程の届出(50kW以上の自家用電気工作物)

出力50kW以上の太陽光発電設備等は「自家用電気工作物」に該当し保安規程の届出が義務(電気事業法第42条)。届出先は管轄の産業保安監督部。設備使用開始前に提出します。

電気主任技術者の選任届出(50kW以上)

設備規模必要な資格
低圧受電(〜600V)第3種電気主任技術者(認定者)
高圧受電(6,600V)第3種電気主任技術者
特別高圧(7,000V〜)第1・2種電気主任技術者

重要 主任技術者の選任届出を怠ると30万円以下の罰金が科される場合があります。設備稼働前に必ず手続きを完了してください。

FIT/FIP制度の認定申請手続き

再生可能エネルギーによる売電を行う場合、再エネ特措法に基づくFIT/FIP認定申請が必要です。申請は**J-CREATe(資源エネルギー庁の電子申請サイト)**から行います(https://www.fit-portal.go.jp/)。

FIT vs FIP の選択

制度主な対象規模買取方式
FIT(固定価格買取)〜2,000kW未満固定価格で20年間買取
FIP(プレミアム付き)250kW以上市場価格+プレミアム(毎月改定)

10〜50kW未満の産業用太陽光はFITのみ選択可能。50kW以上からFIPが選択肢になります。

認定後の変更届出

認定取得後も以下の変更があれば届出が必要です:

  • 設置場所・事業者名・設備の変更(事前または事後届出)
  • 認定設備の譲渡(事前届出が必要
  • 運転開始日の報告(これを忘れると買取が開始されない)

重要 FIT認定を取得しても、J-CREATe上で運転開始報告を行わないと買取が始まりません。設備完成後に必ず電子申請を行ってください。

小規模発電・自家消費型の特殊ケース

10kW未満の住宅用太陽光(一般用電気工作物)

出力10kW未満の太陽光発電は「一般用電気工作物」に分類され、電気事業法上の届出は不要です。ただし電力会社への系統連系申請(逆潮流の申請)は必要です。FIT認定申請はJ-CREATe上で可能(審査期間約2〜3ヶ月)。

自家消費型(売電しない)発電

全量を自社で消費し、電力会社への売電を行わない場合、FIT/FIP認定申請は不要です。ただし50kW以上の設備は電気事業法上の保安規程届出・主任技術者選任は引き続き義務です。

地産地消型(地域新電力・自己託送)

自己所有の発電設備から自社の別拠点へ電力を供給する「自己託送」や、地域新電力を通じた供給の場合は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)への申請が別途必要になります。

重要 FITを取得した設備で、後から自家消費比率を増やす場合は設備変更届出が必要です。無断で使用形態を変更するとFIT認定が取り消されるリスクがあります。

必要書類一覧

FIT/FIP認定申請の主な提出書類

共通書類

  • 認定申請書(J-CREATe上で作成)
  • 発電設備の仕様書・配置図・単線結線図
  • 系統連系承諾書(送配電会社から取得)
  • 土地の権原を証する書類(登記事項証明書・賃貸借契約書等)

法人申請時の追加書類

  • 登記事項証明書
  • 役員一覧(代表取締役等)

農地・林地の場合の追加書類

  • 農地転用許可書(農地法)
  • 林地開発許可書(森林法)

電気事業法届出の主な書類(50kW以上)

  • 保安規程(自社作成。産業保安監督部のガイドラインあり)
  • 電気主任技術者選任届出書
  • 主任技術者の免状のコピー
  • 設備一覧表(電気工作物の概要)

注意: 土地の権原書類は着工前後で整備タイミングが異なります。認定申請のタイミングを事前に確認してください。

電気工作物の種類フロー図(事業用・自家用・一般用の区分)
電気工作物の種類フロー図(事業用・自家用・一般用の区分)出典:農林水産省
電気事業者の登録・届出一覧(電気事業法・小売・送配電・発電)
電気事業者の登録・届出一覧(電気事業法・小売・送配電・発電)出典:農林水産省
電気事業の体系図(法令階層 + 電気事業者の届出手続き一覧)
電気事業の体系図(法令階層 + 電気事業者の届出手続き一覧)出典:農林水産省

申請書の重要記入事項(ミスが起きやすい点)

J-CREATe入力での落とし穴

  • 発電出力の単位: kW(キロワット)とkWh(キロワット時)を混同しないこと。申請書は「設備の最大出力kW」を記載する
  • 設置場所の地番: 住居表示ではなく土地の地番(登記簿上の番地)を入力。地番と住居表示は異なる場合が多い
  • 事業計画の発電量: J-CREATe上では日射量データに基づいた算出が求められる。根拠のない数値は差し戻しになる

電気主任技術者届出での落とし穴

  • 資格区分の選択ミス: 設備の受電電圧に対応した資格が必要。高圧設備(6,600V)に対して低圧のみ対応の認定取得者では不可なケースあり
  • 選任と外部委託の混同: 社内に有資格者がいなければ「選任」はできない。外部委託の場合は承認申請が別途必要

重要 J-CREATe入力ミスによる差し戻しは審査期間を延長させます。系統連系協議と並行してスケジュールが逼迫すると、売電開始が数ヶ月遅れる可能性があります。

発電事業開始の申請フロー(STEP1〜5)

STEP 1:事業計画の確定と用地取得(開業12〜18ヶ月前)

発電量・売電収益の試算、用地選定・取得を行います。農地・林地は転用手続きが先行します。この段階で送配電会社への系統連系申込を先行させます。

STEP 2:系統連系協議・承諾取得(開業10〜12ヶ月前・目安:6ヶ月〜1年以上)

送配電会社との協議を経て「系統連系承諾書」を取得します。**この書類がないとFIT/FIP認定申請ができません。**高圧・特別高圧連系は協議に時間がかかるため最優先で着手します。

STEP 3:FIT/FIP認定申請(開業6〜9ヶ月前・審査約3ヶ月)

J-CREATe(https://www.fit-portal.go.jp/)から電子申請します。申請料は**無料**。審査期間は概ね**3ヶ月**です。

STEP 4:設備工事・電気事業法届出(開業3〜6ヶ月前)

設備の施工と並行して以下を実施:

  • 保安規程の届出(設備使用開始前 / 産業保安監督部)
  • 電気主任技術者の選任届出(設備使用開始前)
  • 発電事業者届出(10,000kW以上の場合 / 開始30日前まで)

STEP 5:設備完成・系統連系・運転開始報告

設備完成後、送配電会社による系統連系工事が完了し売電を開始します。FIT/FIP認定取得後、J-CREATe上で運転開始日の報告を行います(この報告なしには買取が開始されません)。

重要 「系統連系承諾書取得 → FIT認定申請」の順序を守ることが最重要です。STEP2とSTEP3を同時進行させようとして差し戻しになるケースが多発しています。

費用と審査期間のまとめ

発電事業開始に必要な主な手続きの費用と審査期間の一覧です。

手続き費用審査期間窓口
FIT/FIP認定申請無料約3ヶ月J-CREATe(資源エネルギー庁)
系統連系協議無料(接続工事費は別途)6ヶ月〜1年以上各送配電会社
保安規程届出無料届出のみ産業保安監督部
主任技術者選任届出無料届出のみ産業保安監督部
電気工事業の登録22,000〜90,750円1〜2ヶ月都道府県
発電事業者届出(10MW超)無料届出のみ経済産業省

行政書士への依頼費用(目安)

  • FIT認定申請サポート: 5万〜30万円
  • 保安規程・主任技術者届出代行: 5万〜15万円

よくある失敗パターン(発電事業5選)

❌ 失敗1: 系統連系協議を後回しにして着工

土地取得・設計が終わってから系統連系申込をすると、協議完了まで1年以上かかるケースがあります。土地選定と並行して最低限「系統連系検討の申請」だけでも先行させてください。

❌ 失敗2: FIT認定前に着工してFIT対象外になる

FIT/FIP制度では認定前に工事着工した設備はFIT対象外になる場合があります。認定取得後に着工することが原則です。

❌ 失敗3: 農地転用が間に合わず認定が取り消される

農地に設置する太陽光発電は農地転用許可が必要です。FIT認定は取得できても転用許可が下りずに事業開始できないケースがあります。

❌ 失敗4: 主任技術者の資格区分ミス

高圧受電(6,600V系)の設備に低圧のみ対応の認定取得者を選任しようとして差し戻し。資格区分と設備電圧区分の対応を事前確認してください。

❌ 失敗5: 運転開始報告を忘れてFIT買取が開始されない

FIT認定取得・設備完成後もJ-CREATe上で運転開始報告を行わないと買取が始まりません。設備引き渡し後、必ず電子申請を行ってください。

重要 上記失敗のほとんどは「手続きの順序を知らなかった」ことが原因です。行政書士への事前相談でスケジュールリスクを大幅に下げられます。

電気主任技術者の選任と保安規程

出力50kW以上の自家用電気工作物を設置する発電事業者は電気主任技術者の選任保安規程の届出が義務です(電気事業法第42・43条)。

電気主任技術者の選任方法

①社内選任: 資格保有者を社員として採用し産業保安監督部へ届出

②外部委託: 電気保安協会・電気保安法人への保安業務委託も可能(「保安管理業務外部委託承認制度」)。500kW未満は外部委託が認められています。

保安規程の必須記載事項

  • 電気工作物の工事・維持・運用の保安体制
  • 巡視・点検の種類・頻度(月次点検・年次点検)
  • 事故発生時の緊急連絡体制
  • 従業員への保安教育の方針

重要 保安規程に定めた点検頻度を怠った場合、産業保安監督部からの指導・立入検査の対象になります。形式的な届出のみで点検を行わないと事故時に責任問題が生じます。

許可取得後の義務(変更届・廃業届・掲示義務)

FIT認定取得・電気事業法届出の完了後も継続的な義務があります。

掲示義務

  • 電気工作物の標識掲示: 自家用電気工作物(50kW以上)は設備の見やすい場所に標識を掲示する義務があります(電気事業法施行規則)。主任技術者氏名・設備概要等を記載

主な変更届出が必要なケース

変更内容届出先タイミング
発電設備の出力変更J-CREATe + 産業保安監督部変更前
主任技術者の変更産業保安監督部変更後速やかに
保安規程の変更産業保安監督部変更後速やかに
事業者名・住所の変更J-CREATe + 経済産業省変更後速やかに
設備の廃止J-CREATe(廃止届) + 産業保安監督部廃止後速やかに

定期報告・点検

  • 月次点検・年次点検(保安規程に基づく)を実施し記録を保存
  • 事故発生時は産業保安監督部へ速報・詳報の届出が必要(電気事業法第106条)
  • FIT事業者は毎年度の発電量報告(J-CREATe上)が義務

まとめ

発電事業の開始にはFIT/FIP認定申請(J-CREATe)電気事業法に基づく届出の両方を並行して進める必要があります。

最重要ポイント3点:

  1. 系統連系協議を最初に動かす: 他のすべての申請の前提条件。最長1年以上かかるため、事業計画確定後すぐに送配電会社へコンタクトすること
  2. FIT認定前に着工しない: 着工前認定取得が原則。順序を間違えると売電資格を失うリスクがある
  3. 50kW以上なら必ず保安規程と主任技術者届出を完了させてから稼働: 届出未了での稼働は電気事業法違反となる

書類準備・手続き順序に不安がある場合は行政書士への相談が有効です。特に大規模案件(2MW以上)・農地設置・複合申請は専門家のサポートで申請差し戻しリスクを大幅に下げられます。

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許認可ナビ編集部

行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。

最終更新:2026年4月30日

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