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保険代理店の開業に必要な登録手続き|損保・生保・少額短期の違いも解説

保険代理店の開業には損害保険代理店登録・生命保険募集人登録・少額短期保険募集人登録のいずれかが必要。登録手数料15,000円、審査期間30〜60日。委託保険会社経由で申請する独自の手続きが特徴で、事前の試験合格が開業の前提となる。

許認可ナビ編集部·

この記事でわかること

  • 保険代理店の種類(生命保険・損害保険・少額短期保険)と必要な登録の違い
  • 登録に必要な試験・費用・必要書類の全体像
  • 登録手数料:15,000円(個人・法人代理店)、審査期間:30〜60日
  • 委託保険会社が代申する独自の申請フローと注意点
  • 登録後に義務付けられる帳簿記録・変更届・掲示義務の詳細

保険代理店の種類と必要な登録

保険代理店を開業するには、取り扱う保険の種類に応じて保険業法に基づく登録が必要です。

主な登録の種類

種別登録名根拠法令費用
生命保険を販売する生命保険募集人登録保険業法第276条15,000円
損害保険を販売する損害保険代理店登録保険業法第276条15,000円
少額短期保険を販売する少額短期保険募集人登録保険業法第276条15,000円

専属代理店と乗合代理店の違い

専属代理店とは1社の保険会社から委託を受けた代理店。乗合代理店とは複数の保険会社から委託を受け、商品を比較提案できる形態です。乗合代理店は各委託保険会社ごとに登録が必要になります。

重要 保険代理店の登録は、委託保険会社が申請者に代わって金融庁・管轄財務局へ提出します。本人が直接窓口に行くわけではない点が、他の許認可と大きく異なります。

登録できない人(欠格事由)

以下のいずれかに該当する場合、保険募集人・保険代理店の登録は拒否されます(保険業法第279条)。

  • 未成年者・成年被後見人・被保佐人(ただし未成年者は法定代理人の同意がある場合は例外規定あり)
  • 保険会社・金融商品取引業者等の免許・登録を取り消され、取消日から5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑(保険業法・金融商品取引法違反等)に処せられ、その執行終了後5年を経過しない者
  • 暴力団員等反社会的勢力に属する者またはその関係者
  • 保険業法第300条(禁止行為)に違反し、登録を取り消されてから5年以内の者

注意 登録申請後に欠格事由が発覚した場合、登録は取り消されます。自己申告で正確に確認してください。

申請前の準備

1. 委託保険会社・保険種別の選定

保険代理店登録は委託保険会社を通じて行われます。開業前に「どの保険会社と契約するか」「生命保険・損害保険・少額短期保険のどれを扱うか」を決定してください。乗合代理店として複数社と契約する場合は、各社ごとに登録手続きが必要です。

2. 所定の試験合格

登録には対応する試験への合格が必要です。未合格のまま保険の勧誘・説明を行うことは禁止されています。

保険種別必要な試験
生命保険生命保険募集人一般課程試験(生命保険協会)
損害保険損害保険募集人一般試験・基礎単位(日本損害保険協会)
少額短期保険少額短期保険募集人試験

重要 試験は受験申込から最短1〜2ヶ月後の実施となります。開業スケジュールの逆算が必要です。

3. 委託契約の締結と書類の収集

委託保険会社との契約書(委託契約書)を締結し、登録に必要な書類を収集します。法人の場合は登記事項証明書・定款等も必要です。

必要書類一覧(個人代理店)

個人が損害保険代理店または生命保険募集人として登録する場合の主な書類です。実際には委託保険会社が書式を指定するため、必ず委託先に確認してください。

書類備考
登録申請書委託保険会社の指定様式。会社が電子データで作成・送信
住民票(本籍地記載あり)発行から3ヶ月以内
試験合格証の写し損保一般試験・生保一般課程等
顔写真(証明写真)3×4cm程度。委託会社により異なる
身分証明書(本籍地市区町村発行)成年被後見人等でないことの証明
履歴書直近の職歴・保険業務経験を含む

注意 「身分証明書」は運転免許証ではなく、本籍地の市区町村が発行する「身分証明書」です。取り違えが多い書類なので注意してください。

保険募集人登録における保険会社・協会・金融庁・管轄財務局間の書類・電子データの流れを示した業務フロー図
募集人登録の業務フロー(金融庁)出典:金融庁 募集人登録の業務フロー(別紙1)

必要書類一覧(法人代理店の追加書類)

法人として保険代理店を設立する場合、個人向け書類に加えて以下が必要です。

書類備考
定款の写し「保険代理業」が事業目的に記載されていること
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)発行から3ヶ月以内。法務局発行
株主名簿または出資者一覧役員・主要株主の氏名・生年月日
役員全員の住民票・身分証明書欠格事由確認用
役員全員の試験合格証の写し保険募集に直接携わる役員全員分

定款の事業目的に「保険代理業」または「損害保険代理業」「生命保険募集業」等が記載されていない場合、定款変更(特別決議)が必要です。法務局への変更登記費用(登録免許税3万円)も発生します。

申請書の重要記載事項(ミスが起きやすい欄)

登録申請書は委託保険会社が電子システムで作成しますが、申請者が提供する情報の誤りが原因で差し戻しになるケースが多発しています。

特にミスが多い箇所:

  • 商号・名称は登記と完全一致させる(「株式会社」と「(株)」を混在させない)
  • 住所は住民票・登記と一字一句同じ(ビル名の有無・丁目の記載方法)
  • 取扱保険会社名と商品種別の記載漏れ(複数社と契約する乗合の場合は全社分)
  • 委託契約締結日と申請日の関係(契約日以降に申請。逆転は不可)

重要 申請後に書類不備が発覚すると、審査期間がさらに30日以上延びる場合があります。委託保険会社の担当者と事前に書類を念入りに確認してください。

生命保険代理店と損害保険代理店の登録手数料(15,000円 / 1,150円)・欠格事由・処分基準・申請方法を比較した一覧表
登録要件・手数料・欠格事由の比較表(金融庁)出典:金融庁 生命保険募集人登録手続き概要

申請の流れ(STEP1〜4)

STEP 1:委託保険会社を選定・委託契約を締結(目安:1〜2ヶ月)

開業する保険代理店として、どの保険会社の商品を扱うか決定し、委託契約を締結します。乗合代理店の場合は複数社と個別に契約を結びます。委託保険会社がその後の登録手続きを代行します。

STEP 2:所定の試験に合格(目安:1〜2ヶ月)

委託保険会社の案内に従い、生命保険一般課程試験・損害保険一般試験等を受験・合格します。試験は主要都市のテストセンターで随時実施されています(損保は月複数回、生保は年4〜6回程度)。

STEP 3:委託保険会社が登録申請書を提出(審査期間:30〜60日)

委託保険会社が代申会社として、保険募集管理統合システム(電子申請システム)を通じて申請データを金融庁・管轄財務局へ送信します。同時に紙の登録申請書も提出されます。手数料(15,000円)は保険会社経由で納付されます。

STEP 4:審査完了・登録通知受領(目安:登録日から数日以内)

管轄財務局による書類審査・登録通知が発行され、委託保険会社・代申会社を経由して申請者(募集人)に登録済通知が届きます。登録番号を受領後、保険募集業務を開始できます。

費用と審査期間のまとめ

区分登録手数料審査期間
個人代理店(損保・生保)15,000円30〜60日
法人代理店(損保・生保)15,000円30〜60日
保険会社営業職員(社員)1,150円30〜60日
少額短期保険募集人15,000円30〜60日

注意点:

  • 手数料は委託保険会社が立替納付するケースが多い(後に精算するか保険会社負担とするかは契約次第)
  • 乗合代理店は委託保険会社ごとに各15,000円が必要
  • 定款変更が必要な法人の場合は別途法務局への登録免許税3万円が発生

よくある失敗パターン

失敗1:試験合格前に保険の説明・勧誘を行った 登録前・合格前に保険の勧誘行為を行うと保険業法違反(無登録募集)となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。「お試しで話をきいてもらっただけ」でも対象になり得ます。

失敗2:乗合代理店なのに一部の保険会社分しか登録しなかった 委託保険会社が2社以上いる場合、それぞれの保険会社ごとに登録が必要です。一社だけ登録して他社の保険も販売してしまうと無登録募集になります。

失敗3:住所変更・役員交代後に変更届を出さなかった 本店所在地の変更や役員の就退任があった場合、2週間以内に変更届を提出する義務があります。放置した場合、業務停止命令の対象となります。

失敗4:乗合代理店の体制整備要件を確認しなかった 複数の保険会社の商品を比較推奨販売(比較推奨販売)するには、金融庁の定める体制整備要件を満たす必要があります。要件未整備のまま比較推奨を行うと行政処分の対象です。

失敗5:法人の定款に保険代理業の記載がなかった 法人設立時に「保険代理業」を事業目的に記載していない場合、定款変更(特別決議+登記)が必要になり、開業スケジュールが数ヶ月延びることがあります。会社設立前に必ず確認してください。

特殊ケース:乗合代理店・インターネット販売

乗合代理店(複数社比較型)の注意点

乗合代理店として複数の保険会社の商品を比較推奨販売する場合、2016年の保険業法改正により体制整備義務が課されています。

  • 比較推奨販売に係る基準の策定・遵守
  • 顧客の意向把握・確認義務
  • 適切な保険商品の選択を支援する体制の整備

金融庁の「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」に沿った社内規程の整備が必要です。

インターネット専業代理店の注意点

ウェブサイトやSNSを通じた保険の勧誘・販売も規制対象です。

  • ウェブサイト上でも登録番号・委託保険会社名の表示が必要
  • 電磁的手段での意向把握・確認書面の交付が必要
  • 電話による保険勧誘は対面規制と同様の義務あり

取得後の義務

登録後も継続的な義務があります。違反すると業務停止・登録取消の対象になるため確実に遵守してください。

変更届

  • 商号・名称、住所、役員に変更があった場合:変更後2週間以内に委託保険会社経由で変更届
  • 取扱保険会社・商品種別の追加・変更も届出が必要

廃業届

  • 代理店廃業時は廃業後2週間以内に届出
  • 廃業後も顧客が締結した保険契約の管理・引継ぎ義務あり

帳簿記録義務(掲示義務含む)

  • 保険募集に関する帳簿を作成し10年間保存する義務
  • 顧客への説明内容・意向確認記録を記録・保管
  • 営業所に登録番号・委託保険会社名等を記載した標識を掲示する義務(保険業法第305条準用)

情報提供義務(顧客への説明義務)

  • 契約締結前に顧客の意向把握が義務(保険業法第294条の2)
  • 商品内容・手数料に関する重要事項の説明・書面交付が必要

重要 変更届・廃業届は委託保険会社経由で行いますが、提出の義務は代理店自身にあります。保険会社に任せきりにせず、自社で期限を管理してください。

金融庁が保険代理店の監査時に使用する、保険募集管理態勢(経営陣の役割・内部規程・顧客情報管理等)の確認検査項目チェックリスト
保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト(金融庁)出典:金融庁 保険募集管理態勢の確認検査用チェックリスト

まとめ

保険代理店の登録は、以下3点を整理することがスタートラインです。

  1. どの保険会社の商品を扱うか(委託先の選定)
  2. 所定の試験に合格する(試験種別を正確に確認)
  3. 法人の場合は定款に保険代理業を記載する

申請手続き自体は委託保険会社が代行してくれますが、書類不備や試験未合格、欠格事由の確認不足により開業スケジュールが大幅に遅れるケースが少なくありません。

特に乗合代理店として複数社の商品を扱う場合や、法人として設立する場合は手続きが複雑になります。行政書士や委託保険会社の担当者に早めに相談することで、スムーズな開業につながります。

CTA 保険代理店の登録手続きや書類準備に不安がある場合は、保険業法・金融商品取引法に詳しい行政書士への相談が有効です。特に乗合代理店設立や法人定款変更を伴う場合は専門家のサポートをおすすめします。

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許認可ナビ編集部

行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。

最終更新:2026年5月8日

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