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自動車分解整備事業認証の取り方|認証工場の要件・申請手順・費用・審査期間を解説
自動車のエンジン・ブレーキ・サスペンション等を取り外して行う分解整備を事業として行うには、事業場ごとに地方運輸局長(運輸支局)への認証申請が必要。申請手数料は無料・審査期間は2〜8週間・自動車整備士(1・2級)の配置と整備主任者の選任が必須要件。
この記事でわかること
自動車のエンジン・ブレーキ・サスペンションなどを取り外して行う「特定整備」を事業として始めるには、事業場ごとに地方運輸局長の認証が必要です。
- 認証申請手数料: 無料(施設・設備の整備費用は別途必要)
- 審査期間: 2〜8週間(書類提出から認証証交付まで)
- 主な必要書類: 5種類
- 申請先: 管轄の運輸支局(地方運輸局長)
- 認証は事業場ごとに取得が必要(複数拠点なら複数申請)
- 無認証で営業した場合: 50万円以下の罰金(道路運送車両法第109条第11号)
自動車特定整備事業認証が必要なケース・不要なケース
道路運送車両法第78条第1項は、以下の「特定整備」を業として行う場合に認証を義務付けています。
認証が必要なケース
- エンジン(原動機)を取り外して行う分解整備(エンジンオーバーホール等)
- ブレーキ装置・サスペンション(走行装置・制動装置・緩衝装置)の主要部品を取り外す整備
- ミッション(動力伝達装置・変速機)の分解整備
- ADAS(先進運転支援システム)や自動運行装置のカメラ・センサー等に係る電子制御装置整備
- 衝突被害軽減制動制御装置の取り外しや窓ガラス・バンパーの交換(エーミング作業が伴う場合)
重要 令和2年4月の道路運送車両法改正により、ADAS(自動運行装置)に係る「電子制御装置整備」も特定整備に追加されました。既存の分解整備認証業者もADAS整備を行う場合は電子制御装置整備の認証を別途取得する必要があります。
認証が不要なケース
- エンジンオイル交換・タイヤ交換・洗車など分解を伴わない軽整備のみを行う場合
- 自家用自動車を自己使用のために整備する場合(事業として行わない)
- 特定整備に該当しない部品交換のみの作業
自動車整備工場の開業情報
認証を受けられない人・事業場(欠格事由)
道路運送車両法第80条第1項第2号は、以下の者は認証を受けることができないと定めています。
- 道路運送車両法またはその他の法律の罰則規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わった日から2年を経過しない者
- 認証を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
- 法人の役員のうちに上記に該当する者がいる場合(法人自体が認証不可)
注意 申請書第1号様式の「宣誓書」欄に、代表者および役員全員が「道路運送車両法第80条第1項第2号に該当しないこと」を確認した旨を記載する必要があります。法人の場合は役員全員の氏名・役職名を記入してください。
申請前の準備
認証申請の前に、次の3点を確実に整えておきましょう。
施設・設備の整備
認証を受けるためには、整備する自動車の種類に応じた基準面積の作業場と、必要な工具・設備を用意することが必要です。
- 車両整備作業場: 対象車種に応じた基準面積以上(普通自動車・小型・軽自動車で基準が異なる。管轄の運輸支局に事前確認を推奨)
- リフト: 車両を持ち上げて作業できるフロアリフトまたはピットリフト
- 工具類: 分解整備に必要な専用工具一式(トルクレンチ、エンジン吊り治具等)
- 床面: コンクリート舗装等の固い床面(砂利・土間は不可)
電子制御装置整備(ADAS)の認証も取得する場合は、整備スキャンツール(FINES等)およびエーミング機器の保有または入手体制の確保も要件として求められます。
整備主任者の選任
事業場には、特定整備や特定整備記録簿の管理を統括させる整備主任者を少なくとも1名選任しなければなりません。認証申請と同時に「整備主任者選任届(第4号様式)」を提出して届け出ます。
重要 整備主任者が退職等で変更になった場合は、運輸支局へ変更届(第4号様式)を速やかに提出する必要があります。未届のまま放置すると認証取消の対象になる可能性があります。
自動車整備士資格の確保
認証の要件として、事業場には特定整備に従事する従業員(工員)が2名以上必要です。また、有資格者の配置が求められます。
- 1級自動車整備士または2級自動車整備士の資格保有者を1名以上配置
- 対象とする自動車の種類(普通・小型・軽)に応じた整備士資格が必要
- 採用時に資格の有無と資格証書の所在を確認しておくこと

必要書類一覧(個人申請の場合)
認証申請には次の書類が必要です。書類の取得先と注意点を確認しておきましょう。
| 書類名 | 取得先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自動車特定整備事業認証申請書(第1号様式) | 管轄の運輸支局窓口または国土交通省ウェブサイト | 鉛筆書きや修正テープは不可。黒ボールペンで記入 |
| 事業場の平面図 | 申請者が作成 | 作業場・車路・待合室の配置と寸法(間口・奥行・面積)を明記 |
| 主要設備の概要書 | 申請者が作成 | リフト・テスター・主要工具のリストと概要を記載 |
| 従業員の自動車整備技術資格証明書の写し | 従業員が保有する資格証書をコピー | 1級または2級整備士の証明書が必要 |
| 土地・建物の使用権限を証明する書類 | 法務局または貸主から取得 | 登記事項証明書または賃貸借契約書の写し |
ポイント 書類の不備があると追完を求められ、審査期間が延びます。申請前に管轄の運輸支局窓口に相談し、事前チェックを受けることを強くおすすめします。

法人申請の場合に追加で必要な書類
法人(株式会社・合同会社等)が申請する場合は、個人申請の書類に加えて以下が必要です。
- 商業登記簿の謄本(登記事項証明書): 法務局で取得。申請日から3ヶ月以内のもの
- 役員全員の宣誓書: 申請書第1号様式の宣誓書欄に、代表取締役を含む役員全員の氏名・役職名を記入
- 一酸化炭素及び炭化水素測定器の技術上の基準に適合していることを証する書面: 対象の測定器を保有する場合
法人の場合は特に、役員の欠格事由の確認を社内で徹底しておきましょう。
申請書の重要記入ポイント(ミスが起きやすい欄)
認証申請書の記入でよくある間違いを事前に把握しておきましょう。
1. 自動車特定整備事業の種類の選択 整備する自動車の大きさに合った事業種類を選択する必要があります。
- 普通自動車特定整備事業(大型・普通乗用車等)
- 小型自動車特定整備事業(小型乗用・軽を除く小型)
- 軽自動車特定整備事業
2. 対象自動車と整備・装置の種類の表 「分解整備」と「電子制御装置整備」のどちらを申請するか、対象とする自動車の種類ごとに○を記入します。すべての自動車種類を対象にする場合は「全て」の欄に○を記入します。
注意 「全て」に○を入れると申請後に対象外の自動車を整備した場合でも問題ありませんが、最も広い基準面積(大型自動車)に合わせた施設が必要になります。実際に整備する車種のみを選択する方が設備要件の面で有利な場合があります。
3. 工員の構成(整備士数)の正確な記入 整備士の資格種別(1級・2級等)ごとの人数を正確に記入します。有資格者がいないのにいると記載することは虚偽申請です。

認証取得の流れ(STEP1〜6)
STEP 1:施設・設備の整備(目安:数週間〜数ヶ月)
基準を満たす作業場の確保と、必要な工具・設備の導入を行います。リフトの設置工事や作業場の改修が必要な場合は早めに着手しましょう。申請前に管轄の運輸支局に相談することで、施設要件の不足や書類の不備を事前に指摘してもらえます。
STEP 2:従業員・整備主任者の確保(並行作業)
整備士資格保有者の採用または確認を行います。整備主任者も決定しておきます。従業員の資格証書をコピーして準備してください。工員数は特定整備に従事する者が2名以上必要です。
STEP 3:申請書類の作成・提出(目安:1〜2週間)
認証申請書(第1号様式)を記入し、必要書類一式を揃えて管轄の運輸支局窓口に提出します。提出前に窓口での事前相談を受けることを強くおすすめします。
STEP 4:施設の立入検査(目安:提出後1〜4週間)
運輸支局の担当官が事業場を訪問し、施設・設備が認証基準を満たしているか確認します。検査日時は担当官と事前に調整します。不備があれば補正を求められます。
STEP 5:認証証の交付(目安:審査完了後1週間以内)
施設検査で基準適合が確認されると、認証証が交付されます。認証証には事業者名・事業場名・認証番号・認証年月日等が記載されます。
STEP 6:認証番号の掲示・営業開始
認証証を事業場事務所内の見やすい場所に掲示します(掲示義務)。また、「自動車特定整備事業者の標識」を事業場外部から見やすい場所に掲示します。これで特定整備事業を開始できます。
費用と審査期間
| 項目 | 自分で申請 | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 認証申請手数料 | 無料 | 無料 |
| 書類作成・申請代行費用 | 自分で作成(無料) | 約49,800円 |
| 主な審査期間 | 2〜8週間 | 2〜6週間(書類不備が減少するため) |
| 主な手間 | 書類収集・平面図作成・窓口対応 | 行政書士が代行 |
※ 申請手数料は無料です。施設整備費・工具購入費・リフト設置費等は別途必要です。
注意 審査期間は申請内容の複雑さや運輸支局の混雑状況によって変わります。年度末の繁忙期は通常より時間がかかる場合があります。開業予定日から逆算して早めに申請することをおすすめします。
自動車分解整備事業認証の詳細情報
よくある失敗パターン(5選)
自動車特定整備事業の認証申請でよく起きる失敗と対策をまとめます。
失敗1: 施設面積が基準に足りない 認証の基準面積は整備する自動車の種類によって異なります。賃貸物件で事業場を確保する場合、後から面積を拡大するのは困難です。物件を契約する前に必ず管轄の運輸支局で面積要件を確認しましょう。
失敗2: 整備主任者選任届を出し忘れる 認証申請と同時に整備主任者選任届(第4号様式)の提出が必要です。申請書類に含め忘れると書類不備で差し戻されます。チェックリストを使って提出前に確認しましょう。
失敗3: 自動車整備士の資格証明書が揃わない 整備士が複数いる場合、全員の資格証明書が必要です。従業員が資格証書を自宅保管していたり紛失しているケースがあります。採用時に資格の有無と証明書の所在を確認しておきましょう。
失敗4: 平面図の寸法記載が不正確 事業場の平面図は、各作業場・部品整備室・待合室等の間口・奥行・面積を寸法入りで正確に作成する必要があります。手書きの略図では不受理になることがあります。正確な採寸に基づいた作図が必要です。
失敗5: 事業場を増やす際に追加認証を取得せずに営業開始 認証は事業場ごとに取得が必要です。2店舗目・3店舗目を開設する際も、各拠点で認証申請が必要です。未認証の事業場で特定整備を行った場合は50万円以下の罰金の対象となります。
重要 無認証営業は道路運送車両法第109条第11号に基づき50万円以下の罰金が科されます。また、悪質な場合は認証取消・業務停止命令の対象となります(同法第93条)。
ADAS・電子制御装置整備の認証について(令和2年改正対応)
令和元年5月の道路運送車両法改正(令和2年4月施行)により、従来の「自動車分解整備事業」は**「自動車特定整備事業」**に名称が変わり、電子制御装置整備が新たに特定整備として追加されました。
電子制御装置整備とは
- 自動ブレーキ(衝突被害軽減制動制御装置)の取り外しや調整に係るエーミング作業
- 自動運行装置(自動運転システム)の整備
- カメラ・レーダー等が組み込まれた窓ガラス・バンパーの取り外し作業(エーミングが伴う場合)
分解整備と電子制御装置整備の認証の関係
分解整備と電子制御装置整備はそれぞれ別の認証として申請できます(一括申請も可能)。既存の分解整備認証業者がADAS整備も行いたい場合は、追加で電子制御装置整備の認証を取得する必要があります。
電子制御装置整備の認証には、整備スキャンツール(FINES等)およびエーミング機器の保有または入手体制の確保が要件として求められます。
認証取得後の義務
認証を取得した後も、以下の義務を継続的に果たす必要があります。
変更届の提出
- 事業場の名称・所在地の変更: 変更から15日以内に運輸支局へ届出が必要
- 整備主任者の変更: 変更があったら速やかに整備主任者選任届(第4号様式)を提出
- 整備する自動車の種類・整備の種類の変更: 変更前に認証の変更手続きが必要
廃業・廃止の届出
- 認証に係る事業を廃止・休止した場合は、30日以内に運輸支局へ届け出る
- 廃業・廃止時は認証証を返還する
特定整備記録簿の記録・保存
- 特定整備を行った車両ごとに特定整備記録簿を作成し、1年間保存する義務がある
- 記録簿には整備した作業内容・整備士名・整備日時等を記載する
掲示義務
認証取得後は、以下2点を事業場内に掲示することが義務付けられています。
- 認証書(認証証): 事業場の事務所内の見やすい場所に掲示
- 自動車特定整備事業者の標識: 事業場の外部から見やすい場所に掲示
注意 認証書・標識の掲示を怠った場合、行政上の是正指導を受ける可能性があります。移転や看板取り替えの際も掲示義務を忘れないようにしてください。

まとめ
自動車のエンジン・ブレーキ・サスペンションなどを取り外して行う特定整備を事業として行うには、地方運輸局長の「自動車特定整備事業認証」が必要です。
認証のポイント整理:
- 申請手数料は無料(施設・設備の整備費用は別途)
- 審査期間は書類提出から認証証交付まで2〜8週間
- 認証は事業場ごとに必要(複数拠点は複数申請)
- 整備主任者の選任と自動車整備士(1・2級)の配置が必須条件
- 無認証営業は50万円以下の罰金(道路運送車両法第109条第11号)
- ADAS・電子制御装置整備は令和2年以降、分解整備とは別途認証が必要
申請書類の平面図作成や書類収集は手間がかかります。施設要件のチェックや書類作成に不安がある場合は、自動車整備事業認証の実績がある行政書士への相談が有効です。申請前の事前相談で、書類不備による審査遅延を防ぐことができます。
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許認可ナビ編集部
行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。
最終更新:2026年5月6日
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