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酒屋を開業する手順|一般酒類小売業免許の申請・費用・期間まとめ

酒屋・スーパー・コンビニ等の実店舗で酒類を小売するには一般酒類小売業免許が必要。登録免許税3万円、標準審査期間2ヶ月(標準)、所轄税務署への申請。事前相談で書類不備を防ぐことが早期取得のポイント。

許認可ナビ編集部·

この記事でわかること

  • 一般酒類小売業免許とは何か(対象範囲・免許不要のケース)
  • 必要書類一覧(申請書・事業概要書・財務諸表・平面図等)
  • 登録免許税 3万円 の支払いタイミングと納付方法
  • 標準処理期間 2〜4ヶ月 の内訳と短縮のコツ
  • 取得できない要件(欠格事由・場所的要件・経営基礎要件)
  • 取得後の義務(標識掲示・帳簿記録・酒類販売管理者選任)

酒類販売免許の種類を比較|どの免許が必要か確認

酒類を販売するには、販売形態に応じた免許が必要です。申請前に自分のビジネスモデルに合う免許を確認しましょう。

免許の種類取扱範囲登録免許税審査期間経営基礎要件
一般酒類小売業免許店舗での対面販売3万円約2ヶ月酒類販売業の経験1年以上または仕入先・取引先の確認
通信販売酒類小売業免許ネット・カタログ・電話での非対面販売3万円約2ヶ月課税移出数量10万kL未満の品目に限定。生産者との直接取引が原則
酒類卸売業免許酒類販売業者への卸売(BtoB)9万円約4ヶ月3年以上の酒類販売業または製造業の経験が必要

重要 店舗販売とネット販売を併用する場合は、一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の両方が必要です。免許ごとに申請が必要なため、開業前に販売チャネルを確定させておきましょう。

本記事では一般酒類小売業免許(店舗での小売)を中心に解説します。通信販売を検討中の方は「取扱範囲:ネット・カタログ」の行も参照してください。

一般酒類小売業免許が必要なケース・不要なケース

酒税法第9条第1項は、酒類の販売業をしようとする者に対し、販売場ごとに所轄税務署長の免許を受けることを義務付けています。

重要 飲食店内でお客様に飲用させる目的でお酒を提供するだけなら、酒税法上の販売業免許は不要です。ただし、テイクアウト・持ち帰り販売を行う場合は一般酒類小売業免許が必要です。

免許が必要な主なケース

  • 酒屋・スーパー・コンビニなどの実店舗で消費者に酒類を小売する場合
  • 飲食店等(酒場・料理店等)の接客業者に酒類を小売する場合
  • 飲食店が瓶ビールや日本酒のボトルを持ち帰り販売する場合
  • キッチンカーやイベント出店で酒類を小売販売する場合

免許が不要なケース

  • 飲食店等において、自己の営業場で客に飲用させる目的での提供
  • 酒類製造者が自ら製造した酒類と同一品目を製造場で直接販売する場合

免許の種類

一般酒類小売業免許のほかにも、以下の免許があります。販売形態に応じて適切な免許を選択してください。

免許の種類対象登録免許税
一般酒類小売業免許実店舗での消費者・接客業者への小売3万円
通信販売酒類小売業免許インターネット・カタログ等の通信販売3万円
酒類卸売業免許他の酒類販売業者への卸売6万円

取得できない人・場所(欠格事由)

酒税法第10条は、免許を取得できないケース(欠格事由)を詳細に規定しています。申請前に必ず確認してください。

人的要件(申請者本人・役員)

  • 酒税法または酒類業組合法の規定を犯し、罰金以上の刑を受けてから3年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処され、執行終了から3年を経過していない者
  • 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、法定代理人が欠格事由に該当する場合
  • 免許を取り消された日から3年を経過していない者
  • 国税または地方税を滞納している場合
  • 申請に関する書類に偽りの記載をした場合

警告 国税・地方税の滞納があると、免許が下りません。申請前に税務署で滞納がないことを確認しましょう。未納の税金がある場合は、先に全額納付してから申請する必要があります。

経営基礎要件

  • 経営の基礎が薄弱な場合(直近3期の財務内容が著しく不良な場合等)
  • 申請者が破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない場合

場所的要件(販売場の所在地)

  • 正当な理由なく販売場が酒類製造場・販売場・消費者に不便な場所に設置されている場合

罰則: 無免許で酒類販売業を行った場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(酒税法第56条)

申請前の準備|開業スケジュールの設計

審査期間は標準2ヶ月ですが、書類に不備があると補正のたびに審査が止まります。以下の準備を開業の4〜6ヶ月前から始めることをおすすめします。

1. 免許の種類を確認する

実店舗での販売に加え、インターネット販売や卸売りを検討している場合は、複数の免許が必要になることがあります。まず「何を・誰に・どのように販売するか」を整理し、必要な免許の種類を確定しましょう。

2. 税務署の酒類指導官に事前相談する

重要 申請前に、販売場所在地の所轄税務署の「酒類指導官」に事前相談することを強くおすすめします。要件の確認・書類の事前チェックができるため、後の補正による審査遅延を防げます。

酒類指導官の相談窓口は国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/sodan/index.htm)で確認できます。

3. 経営基礎要件を事前チェックする

一般酒類小売業免許には「経営の基礎が薄弱でないこと」という要件があります。具体的には以下が求められます。

  • 直近3事業年度の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の提出
  • 開業後1年以内の場合は、事業計画書等での代替が可能
  • 国税・地方税の滞納がないこと
  • 申請者の住民票・法人の登記事項証明書

4. 販売場所の確保と平面図の準備

販売場の「平面図」(店舗・倉庫の間取り図)が申請書類として必要です。販売場所が確定したら早めに平面図を準備しましょう。賃貸物件の場合は、賃貸借契約書の写しも必要です。

必要書類一覧(個人申請)

以下の書類を、販売場所在地の所轄税務署に提出します。書類はすべて正確に記載し、不備がないように準備してください。

書類名取得先・作成者備考
酒類販売業免許申請書(様式1号)所轄税務署・国税庁HPからダウンロード販売する品目・免許種類等を記載
事業の概要書申請者作成販売方法・取引先・仕入先・仕入量の見込み等
販売場の平面図申請者作成店舗・倉庫の間取り図(面積・用途を記載)
直近3期の財務諸表税理士作成または申請者作成貸借対照表・損益計算書
誓約書申請者作成(税務署書式)欠格事由に該当しない旨
住民票(個人)市区町村役場発行から3ヶ月以内のもの
身分証明書市区町村役場禁治産者等でない旨の証明

開業1年未満の場合: 財務諸表の代わりに「最終年度以前3年分の各事業年度の事業計画書」等が必要になる場合があります。税務署の酒類指導官に確認してください。

一般酒類小売業免許申請書(様式1号)の記載例。申請者情報・販売場情報・業種・酒類販売管理者予定者を記入する。
酒類販売業免許申請書(様式1号)の記載例。申請者の名称・所在地・業種・酒類販売管理者の予定者名等を記入する。赤字の注意書きに従い、正確に記載する。出典:国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」(令和8年3月改訂)

必要書類一覧(法人申請の追加書類)

法人として申請する場合は、個人申請の書類に加えて以下が必要です。

追加書類取得先・作成者
登記事項証明書(法人全部事項証明書)法務局(発行から3ヶ月以内)
定款の写し申請者作成(謄本でも可)
役員全員の誓約書各役員が署名・捺印
役員全員の住民票各役員の市区町村役場
役員全員の身分証明書各役員の市区町村役場

注意 役員が複数いる場合は、全員分の書類が必要です。役員の一人でも欠格事由に該当すると免許が下りません。役員変更をした直後の申請では、変更後の登記事項証明書が必要です。

申請書の重要項目|記入ミスが起きやすい欄

申請書の記入ミスは、審査のやり直しにつながります。以下の欄は特に注意が必要です。

「販売する酒類の品目」の欄

一般酒類小売業免許は「原則としてすべての品目」の酒類を販売できますが、申請書には実際に販売予定の品目を記載します。「すべての品目」にチェックを入れて問題ありませんが、品目を限定した免許(たとえば「ビールのみ」)も可能です。

「販売の方法」の欄

  • 「持ち帰り販売」か「配達販売」か、または両方かを明記する
  • インターネット通販を行う場合は「通信販売酒類小売業免許」を別途取得する
  • 配達販売を行う場合は配送方法も記載が必要

重要 申請書に記載した販売方法以外の方法で販売を始める場合は、変更申請が必要です。申請時点での販売計画を正確に記載しましょう。

「酒類販売管理者に選任を予定している者」の欄

免許取得後、30日以内に「酒類販売管理者」を選任し、所轄税務署長に届け出る義務があります。申請書には選任予定者の氏名を記載します。自ら酒類販売管理者となる場合は、酒類販売管理研修を受講する必要があります。

一般酒類小売業免許の申請手続の流れフロー図。申請書提出から審査(標準2ヶ月)を経て免許付与・販売開始まで
一般酒類小売業免許の申請手続の流れ(フロー図)。「申請書等の提出」→「審査(標準2ヶ月)」→「免許付与等の通知」→「酒類の販売開始」の4ステップで進む。出典:国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」(令和8年3月改訂)p.3

申請の流れ(STEP1〜6)

STEP 1:免許の種類を確定する(目安:1〜2週間)

販売形態(実店舗・ネット販売・卸売等)に応じて必要な免許を確定します。複数の免許が必要な場合は、税務署に相談しましょう。

STEP 2:税務署の酒類指導官に事前相談する(目安:1〜2週間)

要件確認・書類の事前チェック・販売場の現地確認予約等を行います。事前相談をしておくと、申請後の補正を大幅に減らせます。

STEP 3:申請書類の準備(目安:2〜4週間)

申請書・事業概要書・財務諸表・販売場の平面図・誓約書・住民票等を準備します。法人の場合は登記事項証明書・定款の写し・役員全員の書類も必要です。

STEP 4:所轄税務署に申請書類を提出(当日)

販売場所在地の所轄税務署に申請書類一式を提出します。申請はいつでも受け付けています。提出後、受付順に審査が始まります。

STEP 5:税務署による審査(目安:2〜4ヶ月)

申請書類の審査が行われます。必要に応じて来署を求められたり、現地確認が行われます。書類の補正が必要な場合、補正期間は標準処理期間から除外されます。

STEP 6:登録免許税の納付・免許証の受領(免許付与通知後)

審査が通ると、書面で免許付与の通知が届きます。通知後、登録免許税(3万円)を納付し、酒類販売業免許証を受領します。免許証を受領したら酒類の販売を開始できます。

費用と審査期間のまとめ

項目一般酒類小売業免許通信販売酒類小売業免許酒類卸売業免許
登録免許税3万円3万円6万円
申請手数料なしなしなし
行政書士報酬(目安)10〜20万円10〜20万円20〜40万円
標準審査期間2ヶ月2ヶ月2〜4ヶ月
免許の有効期限期限なし期限なし期限なし

ポイント 登録免許税は申請時ではなく、免許付与の通知が来た後に納付します。審査に落ちた場合は登録免許税は発生しません。一方、行政書士への報酬は申請が通らなくても発生するケースがほとんどですので、事前に確認しておきましょう。

審査が長引くケース:

  • 申請書類に不備・記載ミスがある
  • 現地確認が必要と判断された
  • 申請者の税務申告に問題がある
  • 申請件数が多い時期(年度末・年度初め)

よくある失敗パターン(酒類販売業免許6選)

税務署が審査で指摘する失敗パターンを事前に把握しておきましょう。

失敗1:飲食店内でテイクアウト販売を無免許で始めてしまう

「店内で飲む分は免許不要だから大丈夫」と思い、同じ酒を持ち帰り販売しても免許不要と誤解するケースが多いです。テイクアウト・持ち帰り販売には一般酒類小売業免許が必要です。発覚した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。

失敗2:国税または地方税の滞納がある状態で申請する

税の滞納があると、経営基礎要件を満たさないとして免許が下りません。申請前に必ずすべての税金の滞納がないことを確認してください。

失敗3:財務諸表の内容が要件を満たしていない

直近の事業年度で大幅な赤字や債務超過がある場合、経営基礎要件を満たさないと判断される場合があります。開業初年度の場合は事業計画書等で代替できることがありますので、税務署に相談してください。

失敗4:平面図が不正確・不完全

販売場の平面図に「倉庫部分」「標識の掲示場所」「酒類の陳列場所」が明示されていないと補正を求められます。面積・用途・各エリアの位置関係を正確に記載しましょう。

失敗5:インターネット販売を一般酒類小売業免許だけで行おうとする

一般酒類小売業免許では、原則として実店舗での小売のみ可能です。インターネット・カタログ等での全国販売には「通信販売酒類小売業免許」が別途必要です。税務署に確認しましょう。

失敗6:複数の店舗で1枚の免許を使い回そうとする

酒類販売業免許は販売場ごとに取得が必要です。本店で免許を受けていても、支店で酒類販売を行う場合は支店の所轄税務署でも免許を取得する必要があります。

インターネット・通信販売で酒類を売る場合

実店舗以外でのネット販売・カタログ販売を行う場合は、「通信販売酒類小売業免許」が必要です。

一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の違い

項目一般酒類小売業免許通信販売酒類小売業免許
販売先消費者・接客業者2都道府県以上の消費者
販売方法実店舗・配達通信販売(ネット・カタログ等)
取り扱える酒類全品目課税移出数量3,000kL未満のメーカー品等

注意 通信販売酒類小売業免許では、大手メーカー(課税移出数量3,000kL以上)の酒類は販売できません。地場産品・クラフトビール・地方蔵元の日本酒等を扱うための免許です。大手メーカーを含む全銘柄を扱う場合は、一般酒類小売業免許との組み合わせが必要になります。

楽天・Amazon などのプラットフォームを利用する場合

ショッピングモール(楽天・Yahoo!ショッピング等)への出店も「通信販売酒類小売業免許」が必要です。プラットフォーム側から免許証の写しの提出を求められることが多いので、免許取得後に速やかに提出しましょう。

許可取得後の義務

免許を取得した後も、酒税法・酒類業組合法に基づく義務があります。

酒類販売管理者の選任・届出

免許取得後 30日以内 に、酒類の販売業務に従事する者の中から「酒類販売管理者」を1名選任し、所轄税務署長に届け出ることが義務付けられています。酒類販売管理者の未選任は 50万円以下の罰金 の対象です。

標識の掲示義務(最重要)

重要 酒類小売業者は、販売場ごとに公衆の見やすい場所に、以下の情報を記載した**「標識」を掲示**することが酒類業組合法により義務付けられています。

  • 酒類販売管理者の氏名
  • 酒類販売管理研修の受講事績

標識の様式例は国税庁HP(https://www.nta.go.jp)「酒類の販売管理」ページからダウンロードできます。

変更届の義務

以下の変更があった場合、30日以内に所轄税務署長に届け出が必要です。

  • 販売場の移転
  • 法人の合併・分割
  • 代表者・役員の変更
  • 酒類販売管理者の変更(30日以内に選任届出)
  • 販売する酒類の品目・免許の種類の追加・変更

帳簿の記録・保存義務

酒類の仕入・販売に関する帳簿を記録し、各事業年度終了後3ヶ月以内に申告する義務があります(課税移出数量に関する申告)。

廃業・廃止の届出

酒類販売業を廃止した場合は、速やかに所轄税務署長に届け出てください。

酒類販売業免許申請の要件チェックシート。酒税法第10条各号の要件を申請者が自己チェックするための一覧表。
一般酒類小売業免許の申請要件チェックシート(国税庁)。酒税法第10条各号の人的要件・場所的要件・需給調整要件・経営基礎要件を申請者が事前確認するための表。出典:国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」(令和8年3月改訂)

まとめ

酒屋を開業するには、まず販売形態(実店舗・ネット販売・卸売)に応じた免許の種類を確定することが大切です。一般酒類小売業免許の申請で最も重要なのは、税務署の酒類指導官への事前相談です。書類の不備による審査遅延を防ぎ、スムーズに免許を取得するためのポイントをまとめます。

  • 登録免許税 3万円(免許付与通知後に納付)
  • 標準審査期間 2ヶ月(書類完備の場合)
  • 開業の4〜6ヶ月前から準備を始める
  • 免許取得後は**標識の掲示・管理者の選任(30日以内)**を忘れずに
  • 複数店舗は販売場ごとに免許が必要

申請書類の準備・書き方・要件確認に不安がある場合は、酒類販売業免許の申請を専門とする行政書士に相談することをおすすめします。専門家のサポートにより、書類不備による審査遅延や不許可リスクを大幅に減らせます。

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許認可ナビ編集部

行政書士・法務専門家と連携し、許認可・行政手続きの正確な情報を提供しています。掲載内容は官公庁の公式情報をもとに作成し、定期的に更新しています。

最終更新:2026年4月28日

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